Merzbild Schwet
このレコードはside「DADA X」とside「FUTURISMO」との両面に分かれている
「Dada X」では、劇団「東京キッドブラザース」が1971年東京後楽園ホールにて上演した「帰ってきた黄金バット」の台詞つき劇中歌をずたずたにカットアップし、再構築されている
スティーブ・ステイプルトンはこの日本語の歌が何を歌っているのかわかっていなかったらしいが、情念的な歌詞は、ぐちゃぐちゃなサウンドコラージュと妙に合っている
「FUTURISMO」では、フランス語?の女性のスポークンワードがカットアップされている
全体的に様々な音の素材がコラージュされ、カオスな雰囲気を漂わせている
音の素材はサックス、ギター、ピアノ、キーボード、ドラムのスピードを遅く変調させたもの、日本語の歌、女性のスポークンワード、レコード針が飛んだようなノイズ、ビニールを擦ったような音、なんかの軋む音、工事の音みたいなの様々
一聴すると適当に感じるが、決して適当にやっているわけでなく、音の配置は慎重に行われおり、それが独特の緊張感を生み出している
アルバムカバーも音楽と同様に様々な要素をコラージュしたデザインとなっている
フード付きの人物の行列は、ダンテの神曲のシーンのギュスターヴ・ドレのイラストから取られている?
裏面のジャケットは工業的な物体を配置させており、「FUTURISMO」と合わせてある気がする
アルバムタイトル『Merzbild Schwet』とは何を意味するのか
翻訳しても翻訳されない
おそらくMerz bild Schwetに分割する
Merzとはメルツバウ(Merzbau)=メルツ建築のメルツのことではないか(※日本のミュージシャンのメルツバウ秋田昌美のことではない) bildはドイツ語で、pictureのことらしい。絵とか風景とかイメージ、象徴を意味する?
Schwetはよくわからないが、Merzbauの提唱者クルト・シュヴィッタース(Kurt Schwitters)の Schwittersを縮めたものか? 調べたらシュヴィッタースの作品にメルツ絵画(Merzbild)というジャンルがあるらしい。コラージュ作品らしく、ナースのコンセプトにマッチしている
クルト・シュヴィッタースの芸術活動のなかには「メルツ」という言葉があった。これはダダから影響を受けている
クルト・シュヴィッタースの話になりかけているのでこれ以上はシュヴィッタースのページに書こうと思う
ダダイズム、未来派、メルツなど、20世紀初頭の芸術運動に影響を受けた作品と言えるのだろう
https://www.youtube.com/watch?v=_7IFqNmNF3k&t=361s